義の賜物を受ける者たちは、さらにいっそう一人の方、イエス・キリストを通して、命の中で王として支配します(180)

命の中で王として支配します(ἐν ζωῇ βασιλεύσουσιν<en zōē basileusousin>)―ローマ5:17

【回復訳】 ローマ 5:17 もし一人の違犯によって、死が一人を通して王として支配したなら、あふれるばかりの恵みとあふれるばかりの 義の賜物を受ける者たちは、さらにいっそう一人の方、イエス・キリストを通して、命の中で王として支配します

「basileuó(basileusousin)」は「basileus:王」の動詞形。その他の聖書は「en zōē basileusousin」を「命にあって支配する」「生きて支配する」「生命にあって支配する」「生き、支配する」「いのちにあって支配する」「命をもって支配する」「いのちにあって、さらに力強く支配する」などと訳しています。前田訳は「いのちのうちに王となる」と訳しています。日本語訳聖書の比較はこちらのサイトから参照いただけます。

ギリシャ語

εἰ γὰρ τῷ τοῦ ἑνὸς παραπτώματι ὁ θάνατος ἐβασίλευσεν διὰ τοῦ ἑνός, πολλῷ μᾶλλον οἱ τὴν περισσείαν τῆς χάριτος καὶ τῆς δωρεᾶς τῆς δικαιοσύνης λαμβάνοντες ἐν ζωῇ βασιλεύσουσιν διὰ τοῦ ἑνὸς Ἰησοῦ Χριστοῦ.(Nestle 1904)

Strong's Concordance
en: in, on, at, by, with
Original Word: ἐν
Part of Speech: Preposition
Transliteration: en
Phonetic Spelling: (en)
Definition: in, on, at, by, with
Usage: in, on, among.

ちらのサイトを引用させて頂きました:Bible Hub

Strong's Concordance
zóé: life
Original Word: ζωή, ῆς, ἡ
Part of Speech: Noun, Feminine
Transliteration: zóé
Phonetic Spelling: (dzo-ay')
Definition: life
Usage: life, both of physical (present) and of spiritual (particularly future) existence.

ちらのサイトを引用させて頂きました:Bible Hub

Strong's Concordance
basileuó: to be king, reign
Original Word: βασιλεύω
Part of Speech: Verb
Transliteration: basileuó
Phonetic Spelling: (bas-il-yoo'-o)
Definition: to be king, reign
Usage: (a) I rule, reign, (b) I reign over.

ちらのサイトを引用させて頂きました:Bible Hub

解説

『あふれるばかりの恵みを受ける者たちは、命の中で王として支配することができます。なぜなら、命はあふれるばかりの恵みから流れ出るからです。』(回復訳聖書 ローマ5:17フットノート1)

『ローマ第5章17節と、10、18、21節、第6章4節、第8章2、6、10節の「命」は、神の永遠の、神聖な、非受造の命(ゾーエzoe)を言っています。それは、わたしたちの命としてのキリストご自身です(ヨハネ11:25.14:6.コロサイ3:4)。これは、わたしたちの肉体の命(ビオスbios―ルカ8:14)とも、魂の命(プシュケpsuche―マタイ16:25-26.ヨハネ12:25)とも異なります。この神の永遠の命は、わたしたちに与えられた神聖な恵みのおもな要素であり、この永遠の命の中で、わたしたちは王として支配することができます。』(回復訳聖書 ローマ5:17フットノート4)

『わたしたちが受けた命は、わたしたちを少しばかりの事柄から救うだけではなく、それはわたしたちを王として座に着かせ、すべての事柄を支配させます。これは、命の中で救われることよりもはるかに高いのです。わたしたちは客観的に義を受けていますが、さらに、絶えず満ちあふれる恵みを受ける必要があります。それは、わたしたちが命の中で、主観的に王として支配することができるためです。この王として支配することの意義が、第6章から第16章で説明されています。そこで述べられているすべての事柄は、わたしたちの努力の成果ではなく、わたしたちが満ちあふれる恵みを受けた結果です。』(回復訳聖書 ローマ5:17フットノート3)

補足

支配する事柄――恵み

第二の人を通して来た

ヨハネによる福音書第1章14節は、キリストは人として受肉された時、恵みに満ちていたと告げています。ヨハネによる福音書第1章17節は、律法はモーセを通して与えられたが、恵みはイエス・キリストを通して来たと言っています。恵みはキリストと共に来ました。これは、キリストがおられる時、恵みもあることを意味します。罪がサタンの人格化であるように、恵みはキリストの人格化です。ですから、恵みはキリスト、神の具体化です。恵みとは何でしょうか? 恵みとは、わたしたちの享受である受肉した神です。神はご自身をわたしたちの享受として、わたしたちに与えられました。コリント人への第一の手紙第15章10節とガラテヤ人への手紙第2章20節を比較すると、神の恵みはキリストであることがわかります。コリント人への第一の手紙第15章10節でパウロは、彼は他の使徒たちよりも多く働いてきたが、それは彼自身ではなく、彼と共にあった神の恵みであると言います。ガラテヤ人への手紙第2章20節でパウロは、生きているのはもはや彼ではなく、キリストが彼の中に生きておられると言います。ですから、恵みとはキリストの生けるパースンです。コリント人への第二の手紙第13章14節も、キリストの恵みを述べています。ですから、キリストは神の恵みです。キリストがわたしたちの享受のために具体化された神としてわたしたちに来られる時、それが恵みです。この恵みは第二の人を通して来ました。

恵みは義を通して満ちあふれ、支配して永遠の命に至る

この恵みは義を通して満ちあふれ、増大し、支配して永遠の命に至ります(ローマ5:15、20、21)。すでに見てきたように、わたしたちはキリストの贖いを通して神の義を持ち、この義はキリストをわたしたちの恵みとして要求する根拠をわたしたちに与えます。この恵みは絶えず満ちあふれ、増大しています。あふれるばかりの恵みの結果、支配して永遠の命に至ります。その結果は物質的で一時的なものではなく、恵みの支配における永遠で神聖なもの――神の神聖な命です。わたしたちは恵みを享受すればするほど、ますます多くの命を得ます。この命は聖別する命、造り変える命、同形化する命、栄光化する命です。この命は恵みから来ます。

支配する事柄――信者たち

あふれるばかりの恵みと義の賜物を受けた

信者たちも支配します。なぜなら、信者たちは王であるからです。ローマ人への手紙第5章17節は言います、「あふれるばかりの恵みと義の賜物を受ける者たちは、なおさら一人の方、イエス・キリストを通して、命の中で支配するはずです」。わたしたちはどのようにして、命の中で支配することができるのでしょうか? わたしたちはあふれるばかりの恵みを受けることによって、命の中で支配します。わたしたちはあふれるばかりの恵みの実際的な意義を考える必要があります。例えば、あなたに何か問題があるとします。あなたがこの問題を処理するのは容易であることを見いだせば、それはあなたに恵みの十分な供給があることを意味します。あなたの状況が耐え切れないことがわかると、それはあなたにあふれるばかりの恵みが欠けていることを証明します。あなたに恵みはあっても、ほんの少しだけです。あふれるばかりの恵みはありません。多くの時、ある兄弟に率直な言葉を語ると、彼は不愉快になります。なぜ不愉快になるのでしょうか?なぜなら、彼に恵みが不足しているからです。彼があふれるばかりの恵みを持っているなら、その恵みは彼を支えて、きつい言葉に耐えることができるようにします。わたしたちが耐えるのに最も難しいのは、きつい言葉です。わたしたちはみな柔らかい言葉、甘い言葉、砂糖をまぶした言葉を聞くことを好みます。滑らかに話す人は、どのように自分の言葉に砂糖をまぶすかを知っています。しかしながら、砂糖まぶしの言葉を好んでいると、欺かれるでしょう。塩からい言葉を語るほうがはるかに良いのです。コロサイ人への手紙第4章6節でパウロは、わたしたちの言葉は常に塩で味つけられているべきであると言います。これは、わたしたちが言葉において制限を受けなければならないことを意味します。助けとなる言葉は塩からい言葉であって、砂糖まぶしの言葉ではありません。塩からい言葉を受け入れることを学んでください。あなたが恵みに満たされ、あふれるばかりの恵みを持っているなら、どのような言葉にも幸いになるでしょう。

 パウロはある困難、肉体に一つのとげを持っており、それを取り去ってくださるよう三度も主に祈りました(IIコリント12:7-9)。主は彼にこう答えられたかのようです、「わたしはそのとげを取り去ろうとしない。あなたはわたしの恵みによってそれを耐え忍ばなければならない。わたしの恵みはあなたに対して十分である」。この恵みとは何でしょうか? それはキリストの受肉です。それはわたしたちの享受としてのキリストご自身にほかなりません。あなたがこの恵みを享受する時、その結果は命です。あなたは命において豊かになるでしょう。あなたは恵みによって困難に耐えれば耐えるほど、ますます命に満たされるでしょう。

 こうして、パウロは、恵みは「多くの人に満ちあふれ」ただけでなく、「義を通して支配し…永遠の命に至る」と言いました。命は絶えず、恵みの増大から出てきます。恵みは満ちあふれなければなりません。ローマ人への手紙第5章20節は、「罪が満ちあふれたところには、恵みもますます満ちあふれました」と言います。恵みは常に罪を超越します。罪は強力ですが、恵みはさらに強力です。恵みは罪よりはるかに強いです。わたしたちは恵みに対して自分を聞き、わたしたちの容量を拡大して、恵みの上にさらに恵みを受ける必要があります。ヨハネによる福音書第1章16節は言います、「わたしたちはみな、彼の満ちあふれたものから、恵みの上にさらに恵みを受けた」。キリストは恵みの源であり、キリストは恵みそのものです。自分をキリストに開き、「あふれるばかりの恵み」を受けるなら、わたしたちは命で満たされるでしょう。

 この命はローマ人への手紙第6章で見られるように、成長する命となります。それはまた聖別する命、解放する命、造り変える命、同形化する命です。最終的に、この命は栄光化する命となります。これがキリストを恵みとして享受することの結果です。

人なるキリストを通して命の中で支配する

恵みが支配して命に至るように、「あふれるばかりの恵み」を受けるわたしたちは、「一人の方、イエス・キリストを通して、命の中で支配するはずです」(5:17)。ローマ人への手紙の初めから第5章11節まで、命の記述はあまりありません。第5章10節は、わたしたちは彼の命の中で救われると言い、第1章17節は、義人は信仰によって命を持ち、そして生きると言っています。しかしながら、聖別の区分に入ると、第5章17節で力強い言葉を見いだします。それは、わたしたちが「命の中で支配する」と言っています。ですから、わたしたちは「命の新しさの中を歩く」ことができます(6:4)。わたしたちが命の中で支配し、命の新しさの中を歩くのは、キリストの中であふれるばかりの恵みを受けているからです。今日、人なるイエス・キリストを通し、彼のあふれるばかりの恵みによって、わたしたちは永遠の命を持つだけでなく、この生活のあらゆる事、あらゆる状況を支配し、命の新しさの中を歩くことができます。

(新約ライフスタディ ローマ人への手紙 第十編「キリストにある賜物は、アダムにある遺産をはるかに超越している」より抜粋)

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