王国(βασιλεία<basileia>)―使徒1:3
【回復訳】 使徒 1:3 イエスは苦難を受けた後、ご自分が生きておられることを、多くの確かな証拠によって彼らに示し、四十日にわたって現れ、神の王国についての事柄を語られた。
ここの「basileias」を他の日本語訳聖書は「国」と訳しています。日本語訳聖書の比較はこちらのサイトから参照いただけます。
ギリシャ語
οἷς καὶ παρέστησεν ἑαυτὸν ζῶντα μετὰ τὸ παθεῖν αὐτὸν ἐν πολλοῖς τεκμηρίοις, δι’ ἡμερῶν τεσσεράκοντα ὀπτανόμενος αὐτοῖς καὶ λέγων τὰ περὶ τῆς βασιλείας τοῦ Θεοῦ·(Nestle 1904)
Strong's Concordance
basileia: kingdom, sovereignty, royal power
Original Word: βασιλεία, ας, ἡ
Part of Speech: Noun, Feminine
Transliteration: basileia
Phonetic Spelling: (bas-il-i'-ah)
Definition: kingdom, sovereignty, royal power
Usage: kingship, sovereignty, authority, rule, especially of God, both in the world, and in the hearts of men; hence: kingdom, in the concrete sense.
解説
『これは、神の王国が、ペンテコステの後における、使徒たちの宣べ伝えの主題であったことを証明しています(8:12.14:22.19:8.20:25.28:23、31)。それは、人の目に見える物質の王国ではなく、神聖な命の王国です。王国は、命としてのキリストが彼の信者たちに広がって形成し、神がその中で命において支配される領域です。マルコ第1章15節のノート1、マルコ第4章26節のノート1、ルカ第4章43節のノート2を参照。』(回復訳聖書 使徒1:3フットノート4)
補足
『神の王国は、本書の強調点の一つです。ルカのこの文書は、神の王国で始まり(使徒1:3)、神の王国で終わります。
実際には、この書はここで終わってはいません。むしろ、それは開かれたままであり、追加されています。その理由は、聖霊がキリストの信者たちを通して、キリストを宣べ伝え、彼を増殖し、拡増し、普及させる働きが、まだ完成されておらず、長期間にわたる継続が必要であったからに違いありません。キリストを増殖し、拡増し、普及させるそのような福音の働きは、神の新約エコノミーにしたがったものです。それは、神のために多くの子たちを生み出し(ローマ8:29)、彼らがキリストの肢体となって、彼のからだを構成し(ローマ12:5)、神の永遠のご計画を遂行し、彼の永遠のみこころを成し遂げることです。このことは、本書に続く二十一の書簡と啓示録で、詳細に啓示されています。キリストの増殖と拡増によって生み出された召会は、神が表現され、神がキリストにおいて統治される領域です。ですから、召会は神の王国となります。神の王国は、神の命から出て、キリストの増殖と拡増に伴って成長し、普及していきます。使徒行伝は、キリストが普及していく記録です。それはまた、神の王国の記録でもあります。なぜなら、神の王国はキリストの拡大であるからです。本書で広範囲にわたって宣べ伝えられた福音は、福音としてのキリストご自身(5:42)、すなわちキリストの福音であり、また福音としての神の王国(8:12)、すなわち神の王国の福音でもあります。そのような福音を宣べ伝えることは、全地がキリストの王国となるまで(啓11:15)、継続し前進します。
四福音書で、神は、肉体と成り、人の生活を経過し、死に、復活した、三一の神の具体化であるキリストを完成されました(コロサイ2:9)。使徒行伝では、この神の具体化である方が、命を与える霊として(Ⅰコリント15:45)、キリストを彼の信者たちの中に拡大させられます。すなわち、手順を経た三一の神を、神に選ばれ、贖われ、造り変えられた人々の中へ造り込んで、彼らを、神が表現される召会の構成要素とします。召会の最終結果は、永遠の未来における新エルサレムであり、神の全き、永遠の表現です。それは、神の永遠の王国でもあり、神が永遠にあって、彼の神聖な命の中で、永遠にわたって統治する領域です。これが、今日すべての福音の宣べ伝えの実際と目標であるべきです。』(回復訳聖書使徒28:31フットノート2)