を通して(διὰ<dia>)―ローマ5:12
【回復訳】 ローマ5:12 こういうわけで、一人の人を通して罪がこの世に入り、そして罪を通して死が入ったように、すべての人が罪を犯したために、死がすべての人に及びました.
その他の聖書は「dia」を「によって」と訳しています。岩波訳は回復訳と同じく「をとおして」と訳しています。日本語訳聖書の比較はこちらのサイトから参照いただけます。
ギリシャ語
Διὰ τοῦτο ὥσπερ δι’ ἑνὸς ἀνθρώπου ἡ ἁμαρτία εἰς τὸν κόσμον εἰσῆλθεν, καὶ διὰ τῆς ἁμαρτίας ὁ θάνατος, καὶ οὕτως εἰς πάντας ἀνθρώπους ὁ θάνατος διῆλθεν, ἐφ’ ᾧ πάντες ἥμαρτον·(Nestle 1904)
Strong's Concordance
dia: through, on account of, because of
Original Word: διά
Part of Speech: Preposition
Transliteration: dia
Phonetic Spelling: (dee-ah')
Definition: through, on account of, because of
Usage: (a) gen: through, throughout, by the instrumentality of, (b) acc: through, on account of, by reason of, for the sake of, because of.
解説
『【一人の人を通して罪がこの世に入り】ここの「罪」の原文は単数。11節までは、複数の罪が取り扱われてきました。12節からは、単数の罪が取り扱われます。第5章から第8章で、罪は人格化されているかのようです。罪は単なる行為ではなく、人のようであり、入ってきて(12節)、王として支配し(21節)、人を主人として支配し(6:14)、人を欺いて殺し(7:11)、人の中に住み、彼らの意志に反してさまざまな事を行なわせます(7:17、20)。罪は生きていて(7:9)、極めて活発です。ですから、罪は邪悪な者サタンの邪悪な性質であるに違いありません。サタンは、アダムの堕落を通して人の中に自分自身を注入し込み、今や堕落した人の中に住んで、活動し、働いている罪の性質そのものとなったのです。この内住している、人格化された単数の罪の性質は、すべての外側の、複数の罪の行為の根源です。』(回復訳聖書 ローマ5:12フットノート2)
『【罪を通して死が入った】死は人の堕落の究極的結果です。まず人の霊が死に、ついには人の体も死にました。死と罪とは分離することができません。一方がある所には、他方もあります。さらに、死は将来の肉体の苦しみだけではなく、人が日ごとに巻き込まれているものです。』(回復訳聖書 ローマ5:12フットノート4)
補足
罪は第一の人を通して入って来た
罪は第一の人を通して入って来ました(ローマ5:12)。アダムの不従順を通して、罪としての邪悪な者が、この世へと入って来ました。ここのこの世とは一般の人類のことです。なぜなら、ある意味で、新約聖書のこの世という言葉は人類を意味するからです。例えば、ヨハネによる福音書第三章十六節は、神は世の人を愛されたと言い、神が人類を愛されたことを意味します。こうして、罪は第一の人アダムを通して人類の中に、人の性質の中に入りました。
死は罪を通して来た
死は罪を通して来ました(ローマ5:12)。なぜなら、死が人類に入る道を罪が聞いたからです。死のとげは罪です(Iコリント15:56)。とげはさそりのとげのように、毒を持っています。同じように、罪は毒素を持っています。いったん罪がわたしたちを毒すると、わたしたちは死を経験します。
(新約ライフスタディ ローマ人への手紙 第十編「キリストにある賜物は、アダムにある遺産をはるかに超越している」より抜粋)